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ヴルタヴァ川のほとりに白鳥が大勢いました。
映画、『存在の耐えられない軽さ』の主人公のトマーシュがヴルタヴァ川のほとりで、白鳥とたわむれるシーンがあって、それを思い出して何となく楽しい気分になりました。
ヴルタヴァ川には、川の沿岸にいくつか公園があって、日当たりもよく観光に疲れた午後のひと時に、ちょっと休憩をしながらのんびり過ごすにはもってこいです。
カフェで休息をとるのとはまた違った趣きがあります。
ところで、これまで四回、プラハを訪れましたが、一度もヴルタヴァ川で釣りをしている人は見かけませんでした。ヴルタヴァ川も川であることは間違いありませんから、そうであるとすれば、そこには魚がいるだろうと思うんですが。
しかし、もしヴルタヴァ川のほとりで、釣り客が大勢いたりしたら、もし、カレル橋に大勢の釣り客がいて、みんなで一斉に釣り糸をたれている、なんてのを想像するとちょっと興ざめかもしれませんね。
白鳥がいて、のどかな風景が都市の周辺部にあって、というのがいいのかもしれません。
旅に出て、こういう小さな風景を発見すると、心の中で大きな感動があります。
旅から帰ってきて、日常生活の中で急に旅の生活や風景を思い出すことがありますが、それは、この写真のような「白鳥の姿」であったり、光の当たらない狭い路地を歩いているときに前方に広がる風景だったりします。
そうした、ふとした瞬間に、僕は自分自身が経てきた人生と、プラハについて考え、少し感傷的な気持ちを味わったりもしますが、その次の瞬間には日常の忙しさにまぎれて、先ほど浮かんだ旅の映像がかき消されていきます。
旅は本当に不思議なものですね。
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